2018年10月12日

犬食文化について その3 ベトナム編 (最終回)

 シリーズでお伝えしております、ベトナムの犬食文化。
今回で、最終回になります。
ベトナム ハノイ在住の通信員さんからのレポートです。

☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

前回は、密輸や病気など犬食文化における問題点について取り上げました。今回はそれら問題点から犬食文化の今後について考察していきます。

今現在ベトナムでは、変わりつつある犬に対する気持ちが、今まで大切にしてきた文化と交差しています。そしてこのことは、今後のベトナムの経済発展と少なからず関係していることに気づかれるでしょう。

国内の消費量は減るが密輸量は増える危険性

すでにハノイで始まっている、「犬肉を食べないように」との呼びかけは、今後さらに拡大していくでしょう。
韓国のようにオリンピックのような国際的な行事が始まったら、政府の規制は強まるはずです。
いずれにしても、このグローバル社会において大多数からは受け入れられないこの文化は、すぐには減ることはないにしても徐々に減っていくと予想できます。

しかし、人の習慣というものはそう簡単に変わるものではありません。
私たちが、「今日から豚肉は禁止!」と言われてしばらく食べられなくなったとしたら、牛肉派の人であっても食べたくなることでしょう。いくら禁止されたからと言っても犬肉料理は麻薬のように、実害があったり、人に直接迷惑をかけるものであったりするわけでもありません。
きっと今まで好きだった人は何らかの形で犬肉料理を食べることと思います。

そうなりますと公開されている国内の犬肉消費量の数字は減っていったとしても、規制しない限りひそかに密輸される犬の数は増えていくのかもしれません。

国際問題に発展する

2016年6月16日オーストラリアの動物愛護団体が、ベトナムに対して食用としての牛の輸出を止めるように働きかけました。

理由は「残虐に殺すから」というものです。

同日付では、ベトナム人がオーストラリアから輸入してきた牛を生きたままハンマーで撲殺する衝撃的な写真が公開されました。

犬の屠殺もこのような残虐な形で殺されていることから、シーシェパードの捕鯨問題のように国際問題に発展して、他国からの禁止の呼びかけや、映画やドキュメンタリーなどが制作されるかもしれません。

犬に対しての愛情が高まっている

先日ハノイの街角でこのようなポスターが、いたるところに貼られていました。
image001

*******

原文:

迷い犬を探しています(謝礼有)
2018年9月1日朝8時頃、ホーグムという場所で飼っている犬を見失ってしまいました。
名前:ゾン・バック・キン
雄、8歳
特徴:下の歯が1つ欠けている
場所:ハンガイ、バーチュウ、フォーフエー、ディンティエンホアン
これらの特徴に該当する写真の犬を預かっている方をご存知の方はご連絡下さい。


*******

日本でも時折見かけるような、迷い犬に対しての飼い主の必死の思いが伝わってきます。

先日、タクシーの運転手さんと犬肉文化について質問しました。
彼は犬肉料理が大好物のようですが、「最近若い人を中心に犬肉料理を食べる人が少なくなってきている」と嘆いていました。
理由を聞いてみましたところ、「犬をペットとして飼う人が増えてきたので食べられなくなっている」ということです。

このようにベトナムは経済発展により、裕福になってきた家庭が犬をペットとして飼うことが少しずつ普通になってきています。
そのような家庭で育った子供は「犬を家族の一員」としてみるようになり、犬肉料理を食べることに抵抗がでているようです。

文化がひとつ減るということ

ベトナムでは犬肉の他にもいろいろな動物の肉を食べます。
日本のように世界各国のいろいろな料理を食べることができる豊かな国と違って、ベトナム人が食べる料理の種類はそれほど多くありません。

そんな彼らの楽しみが、いろいろな肉を食べるということです。
いわゆる「ゲテモノ料理」について話すと、ベトナム人の男性は喜々として、いままでどんな肉を食べたのかについて語ってきます。
私が聞いた中だけでも、日本であまり食べない肉の種類には犬肉料理の他に次のようなものがありました。

・猫
・カエル
・ねずみ
・うさぎ
・へび
・やぎ
・アヒル
・孔雀
・チュンビットロン(ふ化寸前のアヒルの卵)
・ゴカイ
・カイコのさなぎ
・カメムシ


ちなみにカメムシは炒めて食べるようです。
独特の苦みがアクセントになって美味しいとか。
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写真左:カメムシをとっているところ。
写真右:このように水に入れて逃げる前に溺死させます。

この中でも、とりわけベトナム北部で暮らす人にとって犬肉料理は特別なもののようです。

彼らが犬肉を食べるのは、単なる食の楽しみ以上のものがあるのでしょう。

私が取材のため、犬肉通りを歩いていた時のことですが、いつぞやは人でにぎわっていた通りががらんとしていました。
少し不思議に思って、通りかかった人になぜ今日は犬肉の通りに活気がないのかを訪ねてみました。

答えは「月末ではないから」というものでした。

詳しく聞いたところによりますと、ベトナム人は、「旧暦の月末に犬肉料理を食べると幸運が訪れる」と信じているようです。
「犬肉料理を食べるのは美味しいからですか?それとも幸運が訪れるからですか?」と聞いてみましたところ、「人によるがほとんどの人は、幸運のためではないか」というものでした。(旧暦の月末ではない時には犬肉通りに活気がないことは、この答えが間違っていないことを暗に証明しています。)

※旧暦とはアジアの国々でかつて使われていた中国暦のことで、日本でも明治5年まで使われていました。

まとめ

犬肉文化の将来性について考えましたが、この文化はベトナム国内においても世界的にみても、減少することはあったとしても発展することはなさそうに思えます。

犬肉料理を食べて幸運が訪れるという考え方の是非はおいておいても、やはり一国の文化が消滅するとしたらそれは悲しいことです。

確かに慣習のためだけに食べている人もいますが、私の友人の中には「犬肉料理が一番好き」という人もいますので、犬好きの私としては少し複雑な気持ちになります。

最後にベトナムで見かけた犬たちを紹介しますね。

 
(動画:ハノイの子犬たち)

タンロン橋付近にて。
このようにベトナムの犬たちはよく人に懐きます。
大人でも人を襲ってくる犬はまずいません。
この子犬たちも将来食べられるのでしょうか…


image004

ハロン湾にて。なんだか哀愁が漂っています。


image005

チュックバック湖にて。子供たちがお母さんから引き離されています。この扱いはきっとペットではないでしょう。

☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

いかがでしょうか
アジア諸国はイスラム教や仏教など宗教的な影響もあり、犬をペットとして飼う習慣がなかった地域もありますが、近年は、ペットとして犬を飼う習慣が浸透してきているようですね。

家族として飼っている犬を食べる

という意識にはなかなかならないのもうなずけます。

日本でも、若い方やクジラやイルカ食の文化がない地域の方からすると、「なにもイルカ食やクジラ食にこだわらなくても。。」という意見がありますので、それに少し似た現象なのかもしれません。

さて、今回で一旦ベトナムの犬食文化については最終回となりますが、犬食が盛況となる旧暦の月末前のレポートの為、今後、一番にぎわっている時期の犬食文化のレポートができたら。。。

と考えております。

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