2018年10月09日
犬食文化について その2 ベトナム編
シリーズでお届けしております、ベトナムの犬食文化について、二回目をお届けいたします。
今回もベトナム在住の通信員さんによるレポートです。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
前回はベトナムの代表的な文化のひとつである、犬食文化の概要について紹介しましたが、今回は犬食文化の問題点について取り上げていきたいと思います。
犬肉料理は多くのベトナム人に愛されていますが、一部の国しか食べられていないマイナー料理ゆえに問題点がいくつかあります。
今回は犬食文化の3つの問題点について触れつつ、その問題にどのように取り込むべきかについて取り上げていきます。
① 密輸問題
2011年8月11日、タイの東北部でおよそ1000匹もの犬を密輸しようとした、ベトナム人1人を含む男3人が逮捕されました。
目的はもちろん「食用」のため。
しかし今回の逮捕は、氷山の一角であり、タイだけでも毎年50万頭の犬が、その他にもカンボジアやラオスなどの国からも密輸されていると推定されています。
一部はマフィアも絡んでいるといわれ、全てを見つけるのは非常に難しいのが現状です。
家族同然に飼っていた犬が、ある日犬泥棒によって盗まれ食べられてしまうと思うと胸が痛みます。
かわいそうな犬たちは密輸目的で運ばれてくるため、衛生状態が悪い狭いおりに詰め込まれ苦しみながら死んでいくのです。
これは国際犯罪であり、「文化だから」といえるレベルのものでありません。
一般の人たちは密輸を止める手立てはありませんが、仮に食べようとしている犬肉が密輸されたものであるなら手を出さないようにすべきでしょう。
これは、次に解説する「犬肉の病気」にも関係してきます。
② 犬肉の病気
鶏肉、豚肉、牛肉のような流通している肉と違い、犬肉料理はマイナー料理です。
ベトナム北部ではかなり根付いた文化であるとはいえ、安心できる食材が売っている大型スーパーでは売っていません。
そのため当然管理も甘くなり、狂犬病のような恐ろしい病気を持っている犬が、そのまま食用になってしまうことがあります。
特に危ないのが、隣国から密輸された犬肉です。
まず密輸しようとしているような人は、「質の良い肉を食べてもらいたい」というような高潔な理念はありません。そして前述したように大量に密輸された犬たちは衛生状態が悪いだけでなく、狭いおりに詰め込まれています。それで一匹でも病気になっているならすぐに感染が広まってしまいます。
そんな弱った犬たちはすぐに屠殺さえ冷凍にされ、通常の半値以下の値段で売られています。
もし犬肉料理に興味があるのなら、このような問題を踏まえて極端に安い犬肉料理屋に行かないほうが無難といえるでしょう。参考までに犬肉料理の値段を紹介します。
このように、犬料理はベトナム料理にしては少し高価な値段となっていますが、これよりも安い値段には注意が必要です。
③ 残虐な屠殺方法
食用犬は、屠殺されるときにあえて残虐な仕方で殺されます。
これは、「より苦しんだ方犬はアドレナリンが放出されて美味しくなる」という迷信によるもので、この点についての科学的な根拠はありません。
犬たちは、屠殺されるとき次のような殺され方をします。
・鉄の棒で頭を何度も殴打する
・ナイフで心臓を刺す
・生きたまま火あぶりにする
犬は最終的に、苦悶の表情を浮かべながら死んでいきます。
私自身、ハノイに住んでいると時々犬の悲鳴が聞こえてきます。
日本に住んでいる時の犬の悲鳴を聞くときは、「散歩に行きたいんだな」と思っていたものでしたが、今では「アドレナリンを放出させるために殴られているのかな」と思って悲しくなります。(事実は定かではありません。)
しかし、この点については必ずしもベトナムを非難することはできません。
動物を食べるというのは多かれ少なかれ、生き物を苦しめて命を奪うことだからです。
例えば、日本におけるブタの屠殺方法について考えてみましょう。
日本では毎年多くのブタが輸送費を浮かせるために過密に詰め込まれ、そのうちの幾匹かは暑さの中命を失っています。
また、屠殺方法は、血液が固まらないように生きたまま失血させるというものです。
基本的には苦しまないように電気ショックで意識不明にさせられますが、気絶できないで麻痺したままのブタもいるかもしれません。
結局のところ死んでしまうので、彼らが苦しんで死んだのかそうでないかはわかりません。
もちろんだからといって、全員がベジタリアンやビーガンになれというような極端な意見を提唱するつもりはありません。
しかしどうせ食べるなら犬にしろ、ブタにしろできるだけ苦しまないで屠殺してほしいものです。
国際的価値観
ベトナムの首都ハノイ市当局は、2018年9月12日までに、犬を食用にするのを止めるようにとの通知を出しました。
その理由のひとつは、「市のイメージダウンにつながる」というものです。
このように犬肉料理が多くの外国人から好まれないというのは、ベトナム人自身がよく知っています。
韓国ではすでに、犬を食用目的で屠殺することを禁止とする法律ができています。
これはやはり平昌2018年冬季オリンピックの際の「イメージダウン」を避けるためでした。
(実際、この法律が施行された実例はなく、オリンピック期間中でさえほとんどのレストランは、「犬肉料理を出さないでほしい」という地元警察の要請を無視したようです。)
ベトナムの犬食文化は、意外と認知が低くベトナムに旅行に来た人でさえ知らないのがほとんどです。
そんな彼らに犬食文化について話すと、誰もが少なからずの衝撃を受けます。
ベトナム人の中には、犬肉について尋ねると少し恥ずかしそうにする人もいます。
しかし、「野蛮」と思われるのは、アジア諸国の文化であるという偏見が大きいかと思います。
私自身最初、ベトナムでウサギ料理が出されたときは少し抵抗がありましたが、のちにフランスで高級食材であることがわかると見方が少し変わったことは否めません。
犬肉がもし欧米諸国で普通に食べられている料理だったら、それほどパッシングを浴びなかったかもしれません。
そのように考えますと、何をもって「野蛮」とするのかは考える必要がありそうです。
まとめ
今回は、犬肉料理の問題点について解説しました。
犯罪や病気などが絡んでくると単なる文化として片づける問題ではなくなりますので、これら問題点を改善しつつ自国の文化として確立していく必要があるでしょう。
次回は、犬肉文化の将来について取り上げたいと思います。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
いかがでしょうか
ペットとして飼っていた犬が突然行方不明となり、実は、食用として密輸されていた。。。
としたら。。。。
考えただけで恐ろしいことです。
しかも、美味しくなるという迷信のために、意図的に残忍な方法で屠殺されているというのは、私も知りませんでした。
文化を否定する気はありませんが、しかし、あえてこの飽食の世の中、食べる必要性もない
のではないか。。。。
と、思ってしまいます。
ちなみにですが、あまり有名ではありませんが、猫食の文化もアジアにはあります。
犬食ほど話題にはなりませんので、犬よりもさらに少数派の食文化なのかもしれませんね。
次回は、シリーズの最終回になります。
お楽しみに!
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