2018年10月07日

犬食文化について その1 ベトナム編

タイの島犬は、少しお休みをさせていただきまして、先日、ベトナムの犬食文化について、興味深いレポートをいただきましたので、お伝えいたします。

ヤフーニュースやAFPなどで、ベトナムの犬食文化についてのニュースが掲載されました。

ハノイの市当局が、市民に犬食文化をやめるように求めた

というニュースです
実際のところ、ベトナムの市民のかたはどう感じているのでしょうか?

ベトナム在住の、通信員さんによる、ベトナムから見た犬食文化についてのレポート その1です。(全三回でお送りします)

※シリーズ中、少しえぐいと感じる写真を掲載する場合がございますので、閲覧はご注意ください。

☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

ベトナム料理といえば米粉麺で作った「フォー」、色鮮やかで美味しい「生春巻き」、パクチーの独特の後味がくせになる「バインミー」などを思い浮かべるかもしれません。

しかしベトナム人にとっては大切な、しかし一部の人にとっては眉をひそめる料理があります。

それは犬肉料理です。

ベトナムのペット事情を知るうえで犬食文化は切っても切れない関係にありますので、まずご紹介したいと思います。

犬食文化については、肯定的な意見も否定的な意見もあります。
私自身犬愛好家であり、犬肉を食べることはできませんが、出来るだけ中立的な視点で解説していきたいと思います。

ベトナムの犬肉消費量は世界第2位

アジア犬保護同盟(ACAP)が公表している資料によりますと、ベトナムの犬肉消費量は年500万頭で、世界第2位です。

順位   国      年間消費量
第1位  中国     2000万頭
第2位  ベトナム   500万頭
第3位  韓国    200~300万頭

犬肉料理は、ベトナム全国で食べられていますが、特に人気なのは北部で、ハノイの街を歩くと犬肉通りがいたるところにあります


そもそも犬肉料理は美味しいのか

犬肉の味を食べた人の感想を聞くと、とにかく獣臭いと言います。
そのため、臭み消しに次の写真にある「ラーマウ」などの香草と一緒に食べます。

image001

このラーマウは、葉に細かい毛が生えていて、ザラザラとした食感と、癖のある味があり、私自身は香草の中で最も苦手な部類に入りますが、犬肉料理とはとても合うようです。

さて

犬肉料理は美味しいのですか?

と聞くと、ベトナム人は大抵

美味しいです

と答えます。
でもハノイのベトナム人はなかなか本音を言わず、その場の雰囲気に合わせて答える傾向がありますので、あまり参考になりません。

犬肉料理を食べたことがある日本人に聞くと別に美味しくないよとか食べられなくはないと答えます。
なんとなくニュアンスが伝わりますね。

私自身、ヤギ、ウサギ、カエル、アヒルなど犬肉以外の肉はいろいろ食べました。
アヒル、ウサギ、カエルは、普通の鶏肉と味が似ていますし、ヤギは固くて少し癖がありますが普通に食べられます。

しかし結論としていえることは別に食べなくてもよいというものです。

食用肉として美味しいのはやはり、牛、豚、鶏であって、決して安くはないいわゆる「ゲテモノ料理」を、興味を除くとするとあえて食べようとする理由が見つかりません。
犬肉料理は(少なくとも日本人は)美味しいから食べているという人はほとんどいませんので、牛、豚、鳥肉のかわりにはなりません。

ベトナム人は犬食についてどう思っているか

ハノイに住んでいるベトナム人50人にアンケートを取ったところ、49人が「犬肉料理を食べたことがある」と答えました。

これは驚異的な数字です。
理由を聞くと多くの人が少し申し訳なさそうな顔をしながら、

ベトナム人だから…

という答えが返ってきました。
ベトナム人も、他国から犬食文化が好意的に思われていないと感じているようです。(この反応は外国に行ったことがあるベトナム人に顕著に表れていました。)

そんな調査をしていたある日、ついに犬食フルコースに呼ばれました。
その時の料理がこちらです。
image002

手前の三つが左から、犬肉炒め、湯で犬肉、犬のから揚げで、右上が犬スープです。
左上にある香草を臭み消しで一緒に食べます。

ベトナム人と一緒に犬肉フルコースを食べて(実際は、私は鳥肉しか食べませんでしたが)、非常に驚いたことがありました、皆あまり食が進んでいないんです。

一人一人に聞いてみますと、

湯で犬肉は気持ちが悪いから犬肉炒めだけ

だったり、

少しだけもらいました

と言ってほとんど手を付けていなかったりで、結局最終的には大量の犬肉料理が余ってしまいました。

それで私はある疑惑がわいてきました。

実は皆そんなに犬肉が好きなわけではないのでは?

この点については、今回の件だけでは結論をすることはできません。
今回の犬肉レストランの料理人の腕前が悪かっただけなのかもしれません。
いずれにしても

文化がある=好き

という図式は必ずしも当てはまるわけではないということを考えさせられました。

犬肉文化についての議論

犬食を否定する人たちは、「犬は家畜でなくペットである」という考えがあり、犬食を肯定する人たちは、「日本人が鯨を食べる文化があるように、犬食はベトナムの文化だ」と主張します。

あなたはどちらの主張を支持しますか?

「犬はペット」という考え方を少し掘り下げて考えてみましょう。
これはただの感情論ではありません。
なぜなら「犬は人に懐くから」です。
私自身日本でフェレットをペットとして飼ったことがありますが、どんなに愛情を与えても彼は決して懐きませんでした。
十姉妹やインコなどはある程度懐きますが、犬と比べるとやはり他人(他鳥)です。
しかし犬はペットであり家族です。
犬は愛情を注げば必ず応じてくれます。
命令に忠実に従いますし、一緒に寝たり、一緒に旅行に行ったりする人も少なくないでしょう。

ベトナムの犬もそれに違わず、飼い主にしっぽを振り、飼い主の命令に忠実に従います。
他の動物でここまで人に懐く生き物はいないでしょう。

「犬食はベトナムの文化」という見方についてはどうでしょうか。

文化だから何もしてもいいということにはなりません。
カニバリズムが文化の国が人を食べても良いという論理はなりたないのと同様です。
しかし、やはり日本人が捕鯨問題を他国から追及されると感情的になるように、ベトナム人も犬食文化を否定されれば良い気分はしないでしょう。
法を犯しているわけではなく、倫理的な問題に触れているわけでもありませんのでこの点について他国の人があれこれ言う権利はないかと思います。

※ちなみに犬食消費量世界第三位の国韓国は2018年6月裁判所により「犬の食肉処理は違法である」という判断を示しています。
 

いかがでしょうか。
一部不快な写真や表現があったことをお詫びします。
犬食はベトナム人、とりわけ北部の人にとって非常にポピュラーな食べ物です。
しかし世界からみればマイノリティーであり、それゆえに問題点も数多くあります。
次回は、その犬食文化の問題点について取り上げたいと思います。

☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
いかがでしょうか?
ペットや動物に関する、懐きの感想については、通信員さんの私見です。
私自身は、どんなペットも懐かないからと言って、食べる・食べないの理由にはなりえないと思います。
おそらく通信員さんも、そんなつもりで書いているのではないと思います。

確かに食文化という観点からすれば、クジラやイルカ食と同様に、文化なのだから否定されるいわれはないという意見もあるでしょうし、文化だから何をしても良いということもないと思います。
これはアザラシ食やカンガルー食など、いろいろな国や地域が抱える問題でもありますね。

この犬食文化については、全三回でお送りいたします。
次回もどうぞお楽しみに

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